海の中で畑作り!
ということで、今日は1日かけて海の藻場づくりに勤しんできました。
今年は大村湾の湾奥にあるポイントに異変が起こっています。
数日前のブログにも掲載しましたが、
海藻・海草共に成長が悪く、海藻が最も生い茂る春だというのに例年のように繁茂してくれません。
僕が潜り始めた7年間で最も海藻類の生育が悪い年になりました。
お世話になっている漁師さんとも話をしたのですが、
やはり海藻がとても少ないと海の異変を感じていました。
とりわけ、アマモは昨年の1%程しか生えていないありさまです。
去年の状況と比較してみると一目瞭然。
写真の通りです。
これは困りました。
例年であれば今頃はアマモの中にタツノオトシゴを始め、ヒメイカやアミメハギ、オクヨウジ等が繁殖の為に集まり、5月以降にはカミナリイカが産卵に訪れる大切な場所になっているはずでした。
実は過去にも1度、他のポイントでアマモの消失を目撃しています。
それまで港一面に生えていたアマモが翌年から全く生えなくなり、それは5年以上経過した今も続いています。
そんなことがあったものだから、
さすがに今回のアマモ消失は黙って見過ごすわけにもいきません。
ということで、こんな事をやってみました。
まず、アマモが無くなった理由を考えました。
昨年繁茂していたことを考えると、アマモの種子は十分にあったはずです。
(ちなみにここのアマモは一年草です)
アマモの発芽には淡水にさらされる必要があるのですが、ここは地下から湧水が今も出ているので、それも問題無いと思われます。
消失したアマモ場を復元する為に頻繁に行われている事と言えば、アマモの移植です。
移植地点からそう遠くない場所にある別の健康なアマモ場から苗を採取し、それを移植します。
(アマモは地域によって遺伝的差異があるため、全く異なる海域から移植する事は避けないといけません。)
しかし、実はアマモの移植は過去に何度も行っていたのですが、
これまで一度も移植したアマモが通常通りに成長した事がありません。
去年までアマモが繁茂していた場所であっても、消失した後に移植を行うと満足に育たないのです。
それだけでなく、消失後にも僅かに生えてくるアマモは全て葉が細く、十分に伸びる前に枯れてしまいます。
ということで、ただアマモを移植するだけでは恐らく一時的なアマモの復元にしかなりません。
気になるのはアマモだけじゃなく、周りの海藻も全般的に生えていないことでした。
もしかして、海藻の生育に必要な栄養素が十分に無くなったのかな?
そういえば、昨年は僕が潜ってきた中で最も海藻が良く育っていた年でした。
春~夏にかけて浅瀬のゴロタにはホンダワラ類が繁茂し、砂地一面をアオサが覆っていました。
そこで、もしかすると海中あるいは海底には海藻の成長に必要な栄養が蓄えられていて、
それを去年の海藻類がほとんど使ってしまい、今年の藻類が成長するのに必要な栄養が未だ十分に供給されていない事が原因じゃないかと考えました。
ということで前置きが長くなりましたが、
今日用意したものがこちらです。
移植用のアマモと、家庭菜園用の化成肥料です!!
先に言っておきますが、僕は至って大真面目です。
本気で考えた結果、思いついたのが家庭菜園と同じように海中で土作りをするという事でした。
そもそもアマモは植物
植物ならば稲や大根を育てるようにすればアマモも育つはず!という結論です。
とはいえ、僕はこれまで家の小さな畑でも野菜を満足に育てられたことが一度もありません。
土作りになにをすればいいかも良くわかりませんが、水中に撒けそうな肥料がこの化成肥料だったのです。
アマモに必要なリンや窒素といった栄養は十分に揃っています。
まずは昨年までアマモが生えていた地点に化成肥料を撒きます。
白い粒々が化成肥料です。
家庭菜園が趣味の父親には撒きすぎを指摘されましたが、僕にはさじ加減がわかりません。
そもそも誰も水中で肥料なんてやったことがないんだから、とりあえず直感便りで進めます。
続いて、化成肥料を海底の土に混ぜ込んでいきます。
窒素とリンを~
レッツら混ぜ混ぜ~
波で肥料が散る事を防ぐ目的もありますが、化成肥料は水に溶けやすい性質があるため、
表面で大事な栄養が失われる前に土の中に溶け込ませる作戦です。
十分に混ぜたところで、アマモの移植を行います。
アマモの移植には、「葉」よりも「根」を大切に扱わなければなりません。
葉が枯れていても、根が健康であればそこから新たな葉が次々に伸びていくからです。
しかし、これまでの移植では根が伸びる事がまずありませんでした。
果たして肥料作戦は効くのか・・・
同様にして4カ所にアマモの移植を行いました。
もし土作り作戦が上手くいけば、5月~6月にかけてアマモの数が増え、葉が1m近くまで伸びていくはずです。
失敗であれば、このまま枯れていきます。
畑に化成肥料を撒きすぎると、肥料負けして枯れてしまう事もあるようです。
初の試みですので、上手く行く可能性はとても低いと思いますが、
成功すれば大きな一歩です。
失敗した時はまた作戦の練り直しです。
取り敢えず次は追肥のタイミングを伺いながら、成長をチェックしていきます。
つづく・・・!!